- ニュース
- JAGDA新人賞2008選考経緯
JAGDA新人賞2008選考経緯
第1次選考(2007年11月28日/選考委員30名出席)
- 年鑑『Graphic Design in Japan 2008』選考会において、掲載作品を選出。用紙記入方式でカテゴリーごとに選考を行った後(会員氏名は非表示)、入選ボーダー票数を決定。
- 「インタラクティブデザイン・モーショングラフィック」カテゴリーについては、別途選考委員11名により事前に選考・入選ボーダー票数を決定した。
最終選考(2007年11月29日/選考委員30名出席)
- 新人賞対象者194名(2007年10月末日付で39歳以下のJAGDA会員)のうち、A「18票以上の得票作品が1作」またはB「15票以上の得票作品が2作以上」の条件にかなう出品者19名をノミネートとした(注:入選ボーダー票数がカテゴリーによって違うため、出品数の最も多いポスターを基準カテゴリーとし、各得票スコアをコンピュータで補正)。
- ノミネート会員は次の通り。
池澤 樹・えぐちりか・岡室 健・小野勇介・カイシトモヤ・加藤建吾・鎌田順也・小杉幸一・杉山ユキ・関谷奈々・峠田充謙・田中義久・永田武史・平野光太郎・福岡南央子・細川 剛・間宮伊吹・丸橋 桂・八木秀人(以上19名/50音順) - ノミネート会員の全入選作品を会員ごとにまとめ、選考委員ひとり3票を持ち、用紙記入方式で投票を行った(出品会員氏名は非表示)。その結果、岡室 健氏が19票、福岡南央子氏と丸橋 桂氏とが各13票、小杉幸一氏が12票を得票し、他の候補者は7票以下であった。満場一致で、今回は4名を新人賞とすることに決定した。
選考評(左合ひとみ 年鑑編集長)
ひとつのキーワードでその年を語ることは難しい。特に、JAGDA新人賞においては、受賞者が互いに似通っていたというケースは過去にない。誰にも似ていないからこその魅力であり、今年の4名も、複数のプロジェクトを通して像を結んだ各自の個性は実に多彩である。岡室氏には発明性と遊び心、小杉氏には自由さとみずみずしさ、福岡氏にはディレクションと手技双方の力、丸橋氏には潔さと批評性が感じられた。ただ、4名に共通していたものは、どのような課題であれ、最良のコミュニケーションを目指して本質を具現化していく上での、揺るぎない意志であったと思う。答えの出し方はまったく異なるけれど、根底にあるものと目指す着地点はひとつなのかもしれない。
| ・岡室 健 作品 | : | 紙風船をオリジナリティあふれる学習遊具としてデザインし、キーウ゛ィジュアルとしても展開させた「なかよし幼稚園」の一連の仕事が素晴らしい。近年、グラフィックデザイナー参画による幼児教育の場でのデザイン改革が多々見られるが、岡室氏の、紙風船という古典的な遊具をリ・デザインで鮮やかに生き還らせた着眼点は秀逸。発想だけでなく技術的にも驚くべき発明性があり、新人賞の枠におさまることなく多くの支持を集めた。また「a red dragonfly」などに見られる気負いのないしなやかな遊び心には、新しいコミュニケーションの作法が感じられ、今後の展開が最も注目されるひとりと言える。 |
| ・小杉幸一 作品 | : | 今年受賞の4名の中では最年少の80年生まれである小杉氏は、タイポグラフィのみで構成している作品に強い個性が感じられ、固まっていない自由さとみずみずしさが魅力である。「ケーキK」のポスターはひと目見た瞬間から気になる雰囲気を醸し出し、「アジトワンダーダイニング」のグッズにおける情報の整理は巧み。昨今の“ゆるさ”をよしとする曖昧なデザインとは一線を画する骨太さもある。ただ、自主制作に近いスタンスの仕事で評価されているだけに、広く伝えることが必要な仕事において、どのようなコミュニケーションができるのかも見てみたいと思った。 |
| ・福岡南央子 作品 | : | 「ディーブロス」や「OTO」などの作品に見受けられる、手技の感触に裏付けられた独自の世界観。それが福岡氏の大きな魅力だ。大企業の仕事においても損なわれずに発揮されているのは、力量の成すところなのだろう。「世界のKitchenから」のパッケージやVIに始まるトータルのデザインは、確かなディレクション力を基盤にディテールまでしっかりとつくりこまれ、五感に直接響いてくる心地よさがある。限られたスケールの仕事だけでなく、多数を相手にするわかりやすいコミュニケーションで、ここまで個性を生かして魅力的に仕上げている点は秀逸であり、高い評価に値する。 |
| ・丸橋 桂 作品 | : | 銀座の地図だけで表現した「THE GINZA」のポスターやウインドウディスプレイ、表面にメッセージが刻まれたファンデーションを飾らずに見せるパッケージやポスター。丸橋氏の作品からは、甘い情緒や装飾性を削ぎ落とすシャープな潔さと批評性が感じられる。パッケージを積み上げた状態を柱に見立てた「uno」の屋外広告も、商品の本質を的確に捉え、シンプルでダイナミックな空間演出として成功している。インハウス・デザイナーの然るべき方向性として、確立されたブランドイメージと向き合う際のひとつの解答がここにあり、ふところの深いブランドの中でのさらなる健闘を期待したい。 |