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JAGDA新人賞2008選考経緯

第1次選考(2007年11月28日/選考委員30名出席)

最終選考(2007年11月29日/選考委員30名出席)

選考評(左合ひとみ 年鑑編集長)

ひとつのキーワードでその年を語ることは難しい。特に、JAGDA新人賞においては、受賞者が互いに似通っていたというケースは過去にない。誰にも似ていないからこその魅力であり、今年の4名も、複数のプロジェクトを通して像を結んだ各自の個性は実に多彩である。岡室氏には発明性と遊び心、小杉氏には自由さとみずみずしさ、福岡氏にはディレクションと手技双方の力、丸橋氏には潔さと批評性が感じられた。
ただ、4名に共通していたものは、どのような課題であれ、最良のコミュニケーションを目指して本質を具現化していく上での、揺るぎない意志であったと思う。答えの出し方はまったく異なるけれど、根底にあるものと目指す着地点はひとつなのかもしれない。

岡室 健 作品 紙風船をオリジナリティあふれる学習遊具としてデザインし、キーウ゛ィジュアルとしても展開させた「なかよし幼稚園」の一連の仕事が素晴らしい。近年、グラフィックデザイナー参画による幼児教育の場でのデザイン改革が多々見られるが、岡室氏の、紙風船という古典的な遊具をリ・デザインで鮮やかに生き還らせた着眼点は秀逸。発想だけでなく技術的にも驚くべき発明性があり、新人賞の枠におさまることなく多くの支持を集めた。また「a red dragonfly」などに見られる気負いのないしなやかな遊び心には、新しいコミュニケーションの作法が感じられ、今後の展開が最も注目されるひとりと言える。
小杉幸一 作品 今年受賞の4名の中では最年少の80年生まれである小杉氏は、タイポグラフィのみで構成している作品に強い個性が感じられ、固まっていない自由さとみずみずしさが魅力である。「ケーキK」のポスターはひと目見た瞬間から気になる雰囲気を醸し出し、「アジトワンダーダイニング」のグッズにおける情報の整理は巧み。昨今の“ゆるさ”をよしとする曖昧なデザインとは一線を画する骨太さもある。ただ、自主制作に近いスタンスの仕事で評価されているだけに、広く伝えることが必要な仕事において、どのようなコミュニケーションができるのかも見てみたいと思った。
福岡南央子 作品 「ディーブロス」や「OTO」などの作品に見受けられる、手技の感触に裏付けられた独自の世界観。それが福岡氏の大きな魅力だ。大企業の仕事においても損なわれずに発揮されているのは、力量の成すところなのだろう。「世界のKitchenから」のパッケージやVIに始まるトータルのデザインは、確かなディレクション力を基盤にディテールまでしっかりとつくりこまれ、五感に直接響いてくる心地よさがある。限られたスケールの仕事だけでなく、多数を相手にするわかりやすいコミュニケーションで、ここまで個性を生かして魅力的に仕上げている点は秀逸であり、高い評価に値する。
丸橋 桂 作品 銀座の地図だけで表現した「THE GINZA」のポスターやウインドウディスプレイ、表面にメッセージが刻まれたファンデーションを飾らずに見せるパッケージやポスター。丸橋氏の作品からは、甘い情緒や装飾性を削ぎ落とすシャープな潔さと批評性が感じられる。パッケージを積み上げた状態を柱に見立てた「uno」の屋外広告も、商品の本質を的確に捉え、シンプルでダイナミックな空間演出として成功している。インハウス・デザイナーの然るべき方向性として、確立されたブランドイメージと向き合う際のひとつの解答がここにあり、ふところの深いブランドの中でのさらなる健闘を期待したい。

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